膵臓は胃の裏側にある長さ約10〜15センチ、幅5センチの横長の臓器で、食物の消化酵素(アミラーゼ、リパーゼ、トリプシン等)を含む膵液を作っています。
膵液は膵臓の中の膵管を通って十二指腸に分泌されますが、膵管の先端は胆のうから胆汁が流れてくる総胆管の出口と同じ部位にあります。
また、膵臓は血糖に関係の深いインスリンなどのホルモンを血中に直接分泌しています。
膵臓の主な病気は膵炎と膵がんです。膵炎のうち、まず急性膵炎はアルコール類(酒類)の摂取によって起こる場合(約30%)と、前に述べたような解剖学的な関係から胆石症がきっかけとなって起こる場合(約24%)が多いのです。
症状は急激な上腹部痛で始まりますので、胆石症やその他の急性腹症の痛みとまぎらわしいことがあります。
これに対して慢性膵炎は、もっぱらアルコール類の長期過飲が原因で、特に男性の慢性膵炎の70〜80%は飲酒によるとされています。
症状は上腹部痛(ことに過食・飲酒後)、背部痛、体重減少、糖尿などさまざまで、急性膵炎より長い経過をたどります。
膵炎の診断は、急性膵炎の場合、前に述べた膵酵素が炎症のために血液や尿に多量に現れてくるので、これを測ることでほぼ確定します。
そのほか、膵炎の全般的な検査法として、X線に加えて、今日ではX線CT、MRI,MRCP、超音波、超音波内視鏡、逆行性胆道膵管造影(ERCP)などが用いられて正確な診断が行われています。
急性膵炎は補液、抗生剤など内科的治療でほとんどの場合治癒しますが、膵壊死・腹膜炎など重症膵炎に移行したときは手術など専門施設での治療が必要です。
慢性膵炎も内科的治療で難治の場合、手術を必要とすることがあります。
いずれにしても膵炎の予防・治療の基本は暴飲暴食を避け、ことに飲酒を慎むことにあります。
膵がんはことに男性で年々増加しています。
症状に特徴的なことはなく、腹・背痛、体重減少、食欲不振などですが、糖尿病の精査あるいは検診などをきっかけに偶然発見されることもあります。
治療は基本的に手術ですが、他の消化器がんより難治性です。
手術後、全体での5年生存率は10%位で良好とはいえません。
しかし、前に述べたように膵疾患の診断法は今著しく進歩してきていますので、早期発見によって治療成績の向上が今後期待されているところです。



